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    「土用の丑の日」。日本の伝統食、国産うなぎの蒲焼きをいただく

    今夏の「土用の丑の日」は7月30日(土)。
    タレ付けして焼いた「うなぎの蒲焼き」から立ちのぼる香ばしい匂い、艶やかに横たわる佇まいは、鼻腔と腹を刺激して「あぁ、夏が来たな」と感じる日本の風物詩です。
    そんな、うなぎにまつわる話をご紹介します。



    夏にうなぎを食べるのは、なぜ?

    5_高知県の清流・仁淀川。うなぎの養殖でも有名な地域
    高知県の清流・仁淀川。うなぎ養殖でも有名な地域

    うなぎは、日本で古くからなじみのある食材です。
    "タレ"が生まれた江戸時代には、蒲焼きのほかにも、白焼き、肝吸い、和えもの、ご飯ものなど、様々な調理法が広まり、日本料理として大きく発展してきました。

    平賀源内が、夏場に売上が落ち込むうなぎ屋のために「土用の丑の日」というキャッチコピーを考案して夏の「土用の丑」を流行らせたという話は有名ですが(諸説あります)、うなぎは、ビタミンAやビタミンB群が豊富で、高たんぱく、滋養のつく食材として夏バテには最適です。



    うなぎの調理法が花開いたのは江戸時代以降

    4_うなぎの蒲焼きが普及したのは江戸時代中期のこと

    うなぎの代名詞的な調理法、身を開き、タレを付けて香ばしく焼くという「うなぎの蒲焼き」が生まれたのは、江戸時代の中期以降です。昔は、ぶつ切りや輪切りにしたうなぎを、串や枝に縦に刺して焼き、味噌や塩、酢などの調味料で味付けしたものを蒲焼きと呼んでいました。

    江戸中期に、味りんや砂糖、濃口醤油といった調味料が普及したことでタレが生まれ、現代の味に近い「うなぎの蒲焼き」が誕生しました。

    関東と関西で、うなぎのさばき方、焼き方には違いがあります。

    【関東風のうなぎの調理法】
    1. 背開きにする
    2. 串打ち
    3. 白焼き(素焼き)
    4. 蒸す
    5. タレを付けて焼く
    武士社会の関東では、腹開き=切腹のイメージを避けて背開きが好まれたとか。
    背開きにすると、蒸したときに身崩れしにくいという利点も。また、蒸すことで、身がふっくらと柔らかくなり、余分な脂も落ちます。

    【関西風のうなぎの調理法】
    1. 腹開きにする
    2. 串打ち
    3. タレを付けて焼く
    商人社会の関西では、なんでも腹を割って話すというのが好まれる文化のためとか。
    蒸す工程がない関西風は、小まめに串をひっくり返しながら焼くため、香ばしく、少し固めの食感になります。



    うなぎの国内生産量第1位は鹿児島県

    1_桜島と鹿児島市街。鹿児島はうなぎの生産量が日本第1位
    桜島と鹿児島市街。鹿児島はうなぎの生産量が日本第1位

    うなぎの産地といえば、鹿児島県、愛知県(三河)、宮崎県、静岡県(浜松)、高知県などが知られています。
    昔から静岡県の浜松うなぎは有名ですが、近年では、九州の鹿児島県が生産量の第1位。温暖な気候や豊富な水量といった恵まれた自然環境が、うなぎ養殖に適しているんだそう。

    ◆国内のうなぎ生産量ランキング
    第1位:鹿児島県
    第2位:愛知県
    第3位:宮崎県
    第4位:静岡県
    ※2014年農林水産発表の統計より



    天然の稚魚を養殖で育てる「国産うなぎ」

    2_うなぎの蒲焼きといえば土用の丑の日

    日本で出荷される"国産うなぎ"のほとんどが、うなぎの稚魚「シラスウナギ」を養殖して育て上げたもの、というのをご存じですか?

    うなぎの生態は完全には解明されておらず、天然資源に頼らない完全養殖は実用化されていません(※実験段階では成功)。そのため国内養殖では、河川や海岸線で漁師が採った天然の稚魚「シラスウナギ」を、各地の養殖場で大きくなるまで育て上げて出荷しています。

    ◆うなぎの国産の割合(加工品を含む)
    中国や台湾など海外からの輸入:53.3%
    国内養殖:46.4%
    天然漁獲:0.3%
    ※2014年「鰻輸入量及び国内養殖生産量」日本養鰻漁業協同組合連合会発表資料より

    また、私たちがお店や食卓で口にするうなぎは、輸入と国内養殖ものがほぼ半分ずつ。そして、国内だけで見ると約99.4%が養殖うなぎ、残りの0.6%ほどが天然うなぎ。
    つまり、国産うなぎはそのほとんどが、養殖で大切に育て上げられたものです。



    日本の有史以前からの伝統食「うなぎ」

    3_わさび醤油が合ううなぎの白焼き
    わさび醤油が合う、うなぎの白焼き

    うなぎと日本人の付き合いは、約5,000年前の縄文時代の遺跡からうなぎの骨が出土していることから、有史以前からと考えられています。
    日本に現存する最古の和歌集『万葉集』には、貴族で歌人の大伴家持が、うなぎについて詠んだ和歌が収められています。

    石麻呂(いしまろ)に 我れ物申す 夏痩せに
    よしといふものぞ 鰻(むなぎ)捕りめせ

    現代語訳
    「石麻呂さんへ申し上げる。夏痩せに良いというから、ぜひうなぎをとってきて召し上がりなさいな」
    ※lilimo編集部訳

    家持と石麻呂は父親同士の親交もあり、冗談も言い合える仲だったとか。痩せた体つきの石麻呂に対して、「うなぎを食べて滋養をつけなさい」と家持がからかって詠ったものといわれています。

    うなぎは、そんな古い時代から滋養のつく栄養食として知られていたわけですが、今のような蒲焼きとして食べられるようになったのは、ずっと後のことになります。

    ※ご紹介したうなぎの歴史には諸説あります。また、調理法や呼び方には地域差がありますのでご了承ください。

    この記事を書いた著者
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    lilimo編集部
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