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    「江戸硝子」「江戸切子」…創業117年の老舗が生む作品とは

    江戸に伝わる美しいガラス「江戸硝子」

    江戸硝子を作り続ける、1899年創業、燕印のガラスメーカー「廣田硝子」

    4代続く歴史をもつ、東京で最も古いガラスメーカーの一つです。
    そんな廣田硝子が生み出す、美しいガラス製品とは…。

    あぶり出されるモダンなデザイン「大正浪漫硝子」

    1_“あぶり出し”という技法を用いた伝統工芸品「大正浪漫硝子」

    廣田硝子で作られる製品の一つ、「大正浪漫硝子」

    廣田硝子の三代目、廣田達夫さんが、戦後の大量生産型ガラス製品ではない、手作りにこだわり、大正時代に流行った、透明のガラスに色味の付いた柄が浮かび上がる“モダン”な製品を復刻させたもの。
    “あぶり出し”という技法を用いた伝統工芸品です。

    2_あぶり出し技法1、特殊な原料を入れたガラスを溶かし、吹き棹に少量を巻き取る

    その作り方は、まず、吹き職人が、急激な温度差を与えるとオパール色に発色する、特殊な原料を入れたガラスを溶かし、吹き棹に少量を巻き取ります。

    3_あぶり出し技法2、巻き取ったガラスを凸凹の金型に吹き込み、模様を付ける

    次に、巻き取ったガラスを凸凹の金型に吹き込み、模様を付けます。
    この時、薄っすらと模様が浮き上がっています。

    4_あぶり出し技法3、金型に入れたことで冷めていたガラスを、再度加熱し、柔らかい状態に戻す

    そして、金型に入れたことで冷めていたガラスを、再度加熱し、柔らかい状態に戻します。

    5_あぶり出し技法4、柔らかくなったガラスを器の金型に吹き込み、成形

    柔らかくなったガラスを器の金型に吹き込み、成形。
    この時、凸凹だった表面が、器の金型になじんで、つるつるになり、型に入れた時の温度差で、特殊な原料が発色し、絵柄が浮かび上がります。

    6_あぶり出し技法5、器として不要な口の部分を切り落とし、切り口をバーナーで炙って滑らかに、冷まして完成

    最後に、器として不要な口の部分を切り落とし、切り口をバーナーで炙って滑らかにして、冷ましたら完成。

    まるでプリントさせたように、どこか懐かしい雰囲気を感じる柄が浮かび上がった器です。

    7_“江戸硝子”に切子細工を施す、「江戸切子」 8_色付きの器のイメージですが、元々は、無色透明なガラスに細工を施したもの。

    職人と職人の手から生まれる「江戸切子」

    “江戸硝子”に切子細工を施す、「江戸切子」

    その歴史は、古くは天保と呼ばれる時代、南蛮人によって持ち込まれた海外のガラス製品に、江戸大伝馬町でビードロ問屋を営む、加賀屋久兵衛らが切子細工を施したのが、江戸切子の始まりと言われています。

    “江戸切子”といえば色付きの器のイメージですが、元々は、無色透明なガラスに細工を施したもの。
    その後、“無色透明”なガラスに、厚さの薄い藍・紅色の “色ガラス”を着せた“色被せガラス”の器に、切子細工を施すようになったと言います。

    9_厚さの薄い藍・紅色の “色ガラス”を着せた“色被せガラス”の器に、切子細工を施すようになったと言われている_2

    廣田硝子の江戸切子の制作は、各工程を専門の職人が行い、連携することで、一つの製品を生み出しています。

    10_最初に作業を担当するのは、吹き職人

    制作工程で、最初に作業を担当するのは、吹き職人
    色被せガラスという、江戸切子専用の器を制作します。

    初めに、ポカンという製法で器の外側になる、厚さの薄い色ガラスを作ります。
    次に、でき上がった色ガラスの内面に透明なガラスを吹き込み、色ガラスが外側に溶着した“色被せガラス”素材を作ります。

    そして、吹き上がった素材で不要な上部の傘部分を切断し、グラスや器の形に仕上げます。

    11_第二段階の工程を託されるのは、江戸切子職人
    数少ない切子職人の一人、川井更造さん

    この後の工程を託されるのは、江戸切子職人

    吹き職人の手で制作された江戸切子用の器に、下絵を描く、“割り出し”という作業から担当します。
    この作業、昔は墨で下絵を描いていたと言います。

    12_割り出し作業が終わると、次は江戸切子の要_2

    割り出し作業が終わると、次は、江戸切子の要、切子を入れる作業。
    2~3種類の天然の砥石や工業用ダイヤ粒を練り込んだステンレス円盤を使い、割り出しをしたラインに沿って、荒削りを行います。

    13_荒削り作業を行った後は、細かな模様のカット

    そして、荒削り作業を行った後、細かな模様のカットを慎重に施します。
    切子の始点の鋭角や、ラインの湾曲が美しく描かれているか、確認しながらの細かな作業が進められます。

    14_最後は、丹念に手磨き作業

    最後に、磨き作業。
    カット面に艶が出るよう、丹念に手磨きをして、江戸切子は完成するのです。

    江戸切子の文様は、江戸の風情を描写した花鳥風月のデザインが多いんだとか。
    美しい切子細工をよーく見ると、そんな粋なデザインが見えてくるかもしれません。

    「江戸切子」の復活

    15_高い評価を受ける伝統工芸“江戸切子”の復活

    今でこそ、高い評価を受ける伝統工芸“江戸切子”
    しかし、戦後に入ってきた大量生産型ガラス製品の波に押され、一つ一つ手作りをする江戸切子は衰退していたといいます。

    江戸切子が、より普及するようにと、今まで行ってきた卸販売の他に、「すみだ江戸切子館」という、これまでにない、お客さまに直接販売する工房ショップを開設し、また、江戸切子製作体験ができる場を提供するなど精力的に活動し、今日の江戸切子があるのです。

    伝統技術が光る薄ガラス製品

    老舗ガラスメーカーが伝統技術を継承して手仕事で仕上げる製品は、ふだんの食卓に上がるものから、お祝いの席などにぴったりのものまで様々。

    お正月に長寿を願って呑む、縁起物のお酒「お屠蘇」の盃もそろっています。

    16_伝統技術が光る薄ガラス製品
    ※写真の左側が「江戸硝子 三つ揃 お屠蘇」

    写真左側の「江戸硝子 三つ揃 お屠蘇」は、溶かしたガラスを型吹き成形して作り上げたもの。
    吹き職人が、大きな器の金型に吹き入れ、形を作ります。
    そして、盃として、器の底部分を使用するため、不要な上部は切断、切り口をバーナーで炙って滑らかにして完成させています。

    17_吹き職人が手作業で仕上げた、ひょうたん型の酒器セットも人気

    同じく、吹き職人が手作業で仕上げた、ひょうたん型の酒器セットも人気なんだとか。

    18_さまざまな作業工程

    創業より、美しいガラスに魅せられ、歩んできた「廣田硝子」
    創業当初から伝わる独自の製法を守りながら、熟練した職人が手仕事で仕上げた、海外でも高い評価を受ける、美しいガラス製品を、生活に取り入れてみては、いかがでしょうか。

    この記事を書いた著者
    lilimo
    lilimo編集部
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